東京女子大学 人文学科 英語文学文化専攻

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読書リレー
第2回 J. D. Salinger, The Catcher in the Rye『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

 今回紹介する作品は、アメリカ人作家J. D. SalingerのThe Catcher in the Rye(邦題:『ライ麦畑でつかまえて』『キャッチャー・イン・ザ・ライ』)です。(私は原書ではなく村上春樹訳で読んでしまいました…。)
 この作品は、成績不良が原因で高校を退学処分となった17歳の少年、ホールデンがニューヨークの街を放浪する物語です。
 『ライ麦畑でつかまえて』は日本でも有名な作品だと思いますが、私は大学でアメリカ文学のゼミに入っているにもかかわらず、今まで読んだことがありませんでした。卒業論文やその他いろいろからの現実逃避で、いろいろな本を読んだり、映画を観たり、そんなことをしていた時に偶然出会ったのがこの作品でした。
 今まで授業で扱ったような文学作品は、国も時代も違うこともあり、どうしても自分の住む世界とは切り離された異世界の物語のように感じてしまい、「共感する」ということがあまりありませんでした。ところが、この作品も同様に、国も時代も習慣も価値観も私たちとは異なっているのに、インチキな社会や大人たちに不信感を抱き、「現実」と向き合うことを拒むホールデンに、私は痛いほど共感していました。自分の人生や将来に対するモヤモヤした何かをホールデンも抱えていて、もがき苦しんでいました。この本を読んでいた数日間は、ただただホールデンに会いたくて、読書の時間が待ち遠しくて仕方がなかったのを覚えています。
 一方で、どこか冷静な目でホールデンを客観視している自分もいました。これから社会に出て歳を重ねていくにつれて、何かに思い悩んでいたことすら忘れ、社会に溶け込んでいくのだろうなと思うと、とても寂しい気持ちになって、ホールデンが恋しくなります。
 現実逃避ばかりのホールデンを理解できない人はいると思いますし、この作品を好きになれない人もいるかと思います。ただ、この作品を読んで心を動かされた人や、ホールデンの言葉が心に響いた人が一人でも多くいたら嬉しいなと思います。

(Mayu Mitani)

以下は出版社のサイトです。

こちらのコーナーでは、HP編集部員オススメの洋書(翻訳も含めて)を紹介していきます☆
みなさんも英語文学の世界に浸ってみませんか^^?

→ 第1回 The Buried Giant (『忘れられた巨人』)

→ 第2回 The Catcher in  the Rye(『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

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