東京女子大学 人文学科 英語文学文化専攻

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読書リレー
第4回 William Godwin, Caleb Williams『ケイレブ・ウィリアムズ』

突然ですが、英文専攻の愛称はご存知でしょうか?
そうです、「地獄の英文」です。
なぜ、「地獄」と言われてしまうのでしょうか?
その理由はずばり、
「卒・業・論・文」
なのではないかと思います。
今回の読書リレーは、そんな地獄(卒論)を乗り越えた4年生が扱った作品を紹介する特別版!
これから卒論に向けて文献・作品探しをする方々、必見ですよ〜^^

ということで、私が卒論で扱った作品
William GodwinのCaleb Williamsを紹介します(^o^)/
ちなみに、こちらはイギリス文学の作品です。
この作者と作品を知っている人は少ないのではないかと思いますが、 William GodwinはFrankensteinの作者Mary Shelleyのお父さんなのです!
Frankensteinは、暗く鬱々とした感情や雰囲気が物語の中心となっていますが、Caleb WilliamsFrankensteinよりも闇が深く、鋭いです!(さすがはお父さん!)
どうですか?興味が沸いてきたでしょうか^^?
それではまず、ストーリーを見てみましょう☆
主人公Caleb Williamsは両親を亡くしたあと、地主のFalklandの秘書として働き始めます。Falklandは慈悲深く、威厳も兼ね備えた、完璧な紳士...ですが、過去に殺人を犯していたというとんでもない秘密を抱えていることが分かります。
Calebは若さゆえ、溢れる好奇心が止まりません。どんどん、Falklandを追及していきます。そんなCalebはついにFalklandの逆鱗に触れ、偽の罪を着せられ、極悪人となってしまいます。
肉体的にも精神的にもギリギリまで追い詰められたCalebは、最後にFalklandと直接対決!
Calebは無罪を勝ち取り、Falklandの罪を世の中に知らしめることができるのか!? 注目のラストです!

この小説は、18世紀の政治的ゴシックとして有名な作品で、政治批判をしている要素が随所に出てきます。
18世紀の政治的ゴシック?難しそうな響きですね。
あぁ、読むの止めないでください((焦
私は、少しでもこの作品を身近に感じてほしい!
ということで、次に私なりの読みどころをお伝えします(^o^)/

読みどころ①
『登場人物がみんな異常』
以下、初めて読んだときに感じた、それぞれのキャラクターに対しての率直な印象です。
主人公Caleb→計算づくの無邪気さ。あざとい。好奇心を満たすための努力を惜しまず、平気でプライバシーを侵害する。
領主Falkland→名誉のためなら死んでもいい。ロマンチスト
暴君Tyrrel→英版ジャイアン。何でも一番でないと気がすまない。
Tyrrelの義妹、Emily→Falklandへの思い込みと妄想ノンストップガール。
あくまで、私の感じた印象です(笑)
愛すべきキャラクターばかりなので、皆さんも好きになること間違いなしですよ〜!

読みどころ②
『Calebの逃亡劇』
Calebは偽の罪を着せられたあと、逃亡生活を開始します。私はこんなことできません(笑)
・脱獄…満身創痍、厳重な牢屋にも関わらず、何度も脱獄に成功します。一度目は失敗しますが、監守から激しい尋問に合っても「足くじいたんです〜、痛いからどうにかして〜」の一点張り。メンタルが強すぎる。
・変装…モノマネが得意で、特にユダヤ人の出来は素晴らしい。犯人のユダヤ人を探していた警察が逮捕してしまうくらい、訛りを完璧に再現!でもここでは、その完璧さが裏目に出ていてかわいそうです(笑)
・高すぎる適応能力…あるときは小説家になり、あるときは時計職人になり…全然業種が違うのに、ある一定のレベルまで極めます。さらっと書かれていますが、精神が追い詰められているなか、仕事のレベルの向上を目指すとか信じられません。 逃亡しているシーンは、実際に読むと壮絶です!

読みどころ③
『2つの結末』
実はGodwin、一つ目の結末が気に入らなかったらしく、全く異なった結末に書き換えました。
一つ目…Caleb負け、Falkland勝ち
この結末は、思いっきり社会に対して問題提起をしていますね。
Falklandが勝つことで、地位が高く権力を持っている人は、真実をねじ曲げられるということが表れています。
Calebの発言は誰にも信じてもらえず、話好きから一変、最後は沈黙こそ幸せに繋がるのだと悟りを開きます。
階級差で真偽を決めている国と政治への批判が表れているのが、一つ目の結末だと言えます。
二つ目…Caleb勝ち、Falkland負け
一つ目と真逆の結末で、真実が明らかになります。
身分の低いほうの言い分が認められることは、本当に稀です。なぜGodwinは、現実的ではない逆転劇を描いたのか?なぜ結末を書き直したのか?
このように、作者の気持ちも考えながら読むと、新たな作品の魅力が見えるかもしれませんね(^^)

Caleb Williamsのストーリーと私の考える読みどころをご紹介しました!
少しでも興味を持っていただけたなら、嬉しい限りです(* >ω<)
日本語訳もあるので、気になる方は読んでみてください♪
最後まで読んでいただき、ありがとうございました(^o^)/

(Yuki Kasugai)

こちらのコーナーでは、HP編集部員オススメの洋書(翻訳も含めて)を紹介していきます☆
みなさんも英語文学の世界に浸ってみませんか^^?

→ 第3回 Pride and Prejudice (『高慢と偏見』)

→ 第2回 The Catcher in the Rye (『キャッチャー・イン・ザ・ライ』)

→ 第1回 The Buried Giant (『忘れられた巨人』)

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